アメリカで働くコンサルタントの本棚

主にM&Aやグローバルビジネスに携わり、USCPAを取得。仕事や自己啓発で役に立つ本や情報等を紹介します。

AI半導体への取り組み

先日、「アップルが人工知能を組み込んだ半導体チップを開発中」と報じられました。

顔認識、音声認識を処理するもので、開発中のiPhoneで試験中ということです。

www.nikkan.co.jp

 

AI向けの半導体では、既にGoogleは昨年、自社用のAIチップ"TPU(Tensor Processing Unit)"を公表し、従来のCPU/GPUを上回る計算性能・省電力性能を発揮しています。また、その成果は囲碁ソフト "Alpha Go(アルファ碁)"の開発やGoogle翻訳の改善にも現れています。

 

これまでソフトウェア/サービスを提供してきたGoogleやApple等が揃ってAI半導体の開発に取り組む背景としては、より高度なAIを開発・利用するために、それを動かすハードウェアにもより高い能力が求められている、という点が挙げられます。

 

従来のCPUは汎用的な計算処理に適している反面、現在のAIの主流である機械学習のような膨大な類似データの読み込み・分析等では処理性能は上がらず、電力消費量も増えます。そのため、各社はAI活用を優位に進めるためにも、自社に適したAI半導体の開発に乗り出しているところです。

 

現状では、この流れに追随する日本の企業は現れていません(むしろ、東芝メモリの売却という逆方向の動きの方が目立ってしまっています)。Google、Apple、Amazonのようにソフトウェア/サービスを世界的に展開している日本の企業が少ないことを考えると致し方の無いことかもしれませんが、今後はこうしたAI活用に向けて集中的に取り組む企業との差はますます広がってしまうでしょう。

 

半導体の開発・製造自体は水平分業が進んでいるため、新たに自社で取り組むにはハードルが高いですが、半導体メーカーと一早く協業し、今後自社のAIに適した半導体等を提供してもらうことで日本の企業もAI分野で優位に立つことはできると思います。

5: ブリティッシュ・エアウェイズ ギャラリーズ ファースト(ロンドン)

今回は、ロンドン ヒースロー空港のターミナル5にあるブリティッシュ・エアウェイズ ギャラリーズ ファーストラウンジをご紹介します。

 

今回のラウンジがあるターミナル5は、ブリティッシュ・エアウェイズの専用ターミナルになっており、ガラス張りの美しい外観やショッピングモール並の充実した商業施設等で世界的にも評価の高いターミナルの一つです。
f:id:hirotay1974jp:20170520182833j:image
f:id:hirotay1974jp:20170521065616j:image

 
ラウンジの入口では、先ず英国らしく馬がお迎えしてくれました(笑)。
中に入るとシャンデリア等の豪華な装飾とともに、暖かな光の差し込む広々とした空間が広がります。
f:id:hirotay1974jp:20170520182857j:image
f:id:hirotay1974jp:20170520182935j:image

f:id:hirotay1974jp:20170520182916j:image


滑走路も目の前にあるため、飛行機がよく見えるのも嬉しいです。
f:id:hirotay1974jp:20170520182952j:image

 
また食事、飲み物も充実しています。今回は朝食の時間帯でしたのでパンやソーセージ、ヨーグルト、果物などの英国式ブレックファーストが提供されていました。以前に夕食時に利用した際も料理は豊富でした。飲み物は、シャンパンやワインなどの専用エリアもあり、様々なお酒を楽しむことができます。
f:id:hirotay1974jp:20170520183021j:image
f:id:hirotay1974jp:20170520183035j:image
f:id:hirotay1974jp:20170520183056j:image

 

もちろんシャワーやWiFiなどの設備は整っており、雑誌なども充実しています。
f:id:hirotay1974jp:20170520183134j:image

 

そして、こちらのラウンジの一番良いところは、目的に合わせて利用者が快適に過ごせるように様々なエリアを用意していることです。開放的でゆっくりできるリビングやビジネススペース、キッズルーム、更にスワロフスキー製のシャンデリアで飾られた豪華なシャンパンルームまであります!
f:id:hirotay1974jp:20170520183149j:image
f:id:hirotay1974jp:20170520183212j:image
f:id:hirotay1974jp:20170520183225j:image
f:id:hirotay1974jp:20170520183245j:image

 

ヒースロー空港内でも屈指の素晴らしいラウンジですので、出発まで充実した時間を過ごせると思います。


(補足)
ターミナル5は、ラウンジだけではなく商業施設も大変充実しているため、そちらを見て回るだけでもあっという間に時間が経ってしまいます。
f:id:hirotay1974jp:20170521070215j:image


2016年11月には、出発エリア内にハリーポッターショップもオープンしました。ハリーポッターのグッズはロンドンでも売っているところも限られているため、ファンの方やお土産などにおすすめです!

f:id:hirotay1974jp:20170521161816j:plain

4: アメリカン航空 ビジネスラウンジ(成田)

今回は、成田空港のアメリカン航空 ビジネスラウンジをご紹介します。

 

こちらのラウンジは、成田空港第二ターミナルにあり、ショップが並ぶナリタ5番街の手前にあるエスカレーターを下りたところに位置します。アメリカン航空の他にはOneworld加盟航空会社、フィリピン航空等の利用者が使えます。
f:id:hirotay1974jp:20170515110417j:image

 

ラウンジに入ると、和風の雰囲気を随所に感じる広々とした落ち着いた空間が広がります。いくつかのエリアに分かれており、席数も十分にありますので、それぞれの目的に合わせて大きめのソファーでゆったりくつろぐことができます。また、搭乗ゲートの目の前にあるため、飛行機がよく見えるのも嬉しいです。
f:id:hirotay1974jp:20170515110434j:image

f:id:hirotay1974jp:20170515110458j:image
f:id:hirotay1974jp:20170515110556j:image


プリンターが備え付けられたブースもあり、集中して仕事等を行いたい方にはおすすめです。
f:id:hirotay1974jp:20170515110512j:image

 

食事はJALラウンジと提携して同じ炊きたてのご飯や焼き魚、新鮮な野菜などが食べられます。他にもハムなどの軽食やスナック類も提供されています。
飲み物は、ソフトドリンクからビール、ワイン、日本酒まで幅広く揃っています。
f:id:hirotay1974jp:20170515110646j:image
f:id:hirotay1974jp:20170515110706j:image
f:id:hirotay1974jp:20170515110724j:image

もちろん、WiFiやシャワールームなどの基本的な設備も備わっています。

こちらのラウンジで最も目を引くのが随所に飾られているひな人形、屏風絵、浮世絵など和風の装飾品の数々です。海外の方から見た、日本の良さを再発見したように感じました。
f:id:hirotay1974jp:20170515110739j:image
f:id:hirotay1974jp:20170515110747j:image
f:id:hirotay1974jp:20170515110758j:image

 

私が訪問した午前中の時間帯はフライトが少なかったためか、それほど混んでおらず、座席数にも余裕がありました。同じOneworldのJAL等のラウンジが混んでいたり、出発までの時間をゆっくり落ち着いて過ごしたい時などに最適なラウンジです!

リクルート AIソリューションを無料公開

先日、リクルートテクノロジーズは「ホットペッパー」や「カーセンサー」などで実際に利用しているAI・機械学習ソリューションのAPIを無料公開しました。 

a3rt.recruit-tech.co.jp

 

現時点で公開されているのは、以下の6つです。

これらを用いることで、例えば文章の自動生成・入力補助(Text Suggest API)や誤字脱字等の自動検出(Proofreading API)により原稿を書く作業を効率化したり、良い印象を与える写真の判別(Image Infuluence API)を行うことなどができます。

 

ご参考までに、実際の利用イメージは、こちらのブログでListing APIを除く5つのソリューションを簡単に試すことができます。

http://ai-create.sub.jp/_lab/a3rt/talkapi/#/

ai-create.net

 

原稿の自動作成や校閲のソリューションは、仕事柄、利用する機会が多そうですので、ぜひ私も今後使っていければと思います。 

  

(補足)

なお、同社のサイト内では、自社の経験を踏まえて、

  • ビジネスとして合理的な判断の必要性(最新手法だからすごいわけではない)
  • 機械学習のデータを持つ会社は強い(データは容易に真似できない)
  • 結局、何の問題が解決できるかが大事(AI・機械学習のプロダクトの多くは効率化か、コスト削減のいずれか)

という認識の下で、実際にAIをビジネスに活用するための勘所も示しており、大変秀逸です。

www.slideshare.net

 

今回の無料公開についても、より幅広く使ってもらうことで自社ソリューションの発展につなげたい、という考えがあるものかと思います。

企業戦略を読み解く1: Tesla

今回から、主に海外企業を中心に業績やニュース等から各企業の戦略を読み解きます。

 

第一回目は、Teslaです。

 

概要

Teslaは、米国シリコンバレーに本拠を置き、電気自動車の設計から製造・販売までを手掛ける会社です。同社の最新モデルの電気自動車は、画期的な性能・機能を誇り常に注目を集めています。また、前回紹介したように再生可能エネルギーを用いた発電事業も展開しています。

 

TeslaはNASDAQに上場しており、投資家向けにも情報を公開しています。

ir.tesla.com

 

 

直近の動向

Teslaの最新鋭の電気自動車 Model S P100Dは、60m/h(時速約100km)に至るまでわずか2秒28という史上最速の加速性能(フェラーリよりも速い)に加えて、タッチスクリーンでの操作、自動運転対応などの高い機能を誇ります。

そのため、同社は特に高級車の分野で急速に勢いを伸ばしており、BMW、ベンツなど他社の販売が伸び悩む中、Teslaは下図のように過去4年間で年間販売台数を約4倍(2013年 2.2万台→2016年 8万台)にしています。

f:id:hirotay1974jp:20170430135936j:plain

 

また、先日も米国最大手の自動車メーカーGMを一時、時価総額で上回るなどTeslaに対する市場の評価は極めて高く、この高い成長への期待を活かして、最近も中国テンセントから約17億8千万ドルの出資を得るなど、積極的な資金調達も行っています。

 

注目の指標

Teslaの注目すべき指標は、まず売上高・純損益(Revenue, Net Income/Loss)です。販売台数の順調な伸びに比例して、売上も過去数年間で大きく拡大しており、2016年売上は7,000百万ドル(約7,700億円)です。この急成長が同社に対する高い期待につながっています。

 

一方で、最終損益は純損失を続けており、四半期単位で見ても純利益となることは殆どありません(最近では2016年3Qに一度黒字になりましたが、それ以外は最終赤字を続けています)。 

f:id:hirotay1974jp:20170501233427j:plain

 

最終赤字が続く最大の原因となっているのが、 多額の研究開発費(R&D)、生産・販売台数の拡大を支える販売・管理費(SG&A)の増加です。下図に示すようにR&D、SG&Aは年々増加しており、対売上でも26-41%を占めるなど非常に高い水準となっています。

f:id:hirotay1974jp:20170501090030j:plain

 

R&Dについては、 Teslaが最先端の電気自動車を開発し続け、最高級車としてのブランドイメージを保つためにも不可欠です。また、最近では高級車のModel S, Xに加えて、一般向けのModel 3の量産に乗り出しており、このために多額の費用を要しています。

またSG&Aも、急速な販売の伸びに伴い、販売店やサービスセンター、充電スタンドを拡充するなど、電気自動車の普及に向けて必要なものばかりです。

 

したがって、Teslaにとっては、こうした固定的な費用を十分に上回るだけの売上をいつから計上できるようになるかが最重要課題であると言えます。現在開発中である量産型のModel 3がまさに試金石となるでしょう。 

 

まとめ

画期的な性能と高いブランドイメージを誇るTeslaの電気自動車ですが、生産・販売には多額の投資を要しており、まだ黒字転換には至らない状況です。

一方で、ライバルであるBMW、VWなど伝統的な自動車メーカー、トヨタ、日産などの日本車メーカー、更にはGoogle、Uberなども大規模な資金力・技術力を活かして電気自動車・自動運転等の分野で着々を開発を進めています。

 

Teslaは先月駐車ブレーキの不具合でリコールを発表しましたが、こうした技術的な課題を解決し、強力な他社に先駆けていかに早く高機能の電気自動車を量産し、市場に広めるかが今後の鍵となるでしょう

 

Tesla CEOのイーロン・マスク氏は2006年に「マスタープラン」を発表しており、これまではプラン通りに進んでいます(10年前から現在の姿を描いているのは驚きです)。

  • スポーツカーを作る
  • その売上で手頃な価格のクルマを作る
  • さらにその売上でもっと手頃な価格のクルマを作る
  • 上記を進めながら、ゼロエミッションの発電オプションを提供する

 

昨年には新たな「マスタープラン パート2」を発表し、次の目標を掲げました。

  • バッテリー ストレージとシームレスに統合された素晴らしいソーラールーフを作ります
  • すべての主要セグメントをカバーできるようEVの製品ラインナップを拡大します
  • 世界中のテスラ車の実走行から学び、人が運転するよりも10倍安全な自動運転機能を開発します
  • クルマを使っていない間、そのクルマでオーナーが収入を得られるようにします

www.tesla.com

 

電気自動車の普及を通じて持続可能な輸送手段/社会の実現を目指している、Teslaに今後も注目したいと思います。

Tesla Energy/テスラの発電事業

今週、電気自動車のTeslaが一時、General Motors(GM)を抜いて時価総額で全米首位の自動車メーカーになったと話題になりました。

www.bloomberg.co.jp

 

GMの2016年販売台数は世界3位の約957万台、これに対してTeslaの販売台数は約7万台と比較にならない程大きな差がありますが、それだけ市場がTeslaの成長性を有望視していることの現れだと言えます。

 

そのTeslaが発電事業にも進出していることをご存知でしょうか?

2016年11月に太陽光発電事業を手掛けるSolarCityを買収し、太陽光発電パネル、家庭用蓄電池などの販売を開始しました。

www.tesla.com

 

同社の日本のWebサイトでも、電気自動車に並んで"Powerwall"という家庭用蓄電池があります(米国のサイトでは"Energy"という項目になっており、より幅広いラインナップが提供されています)。

www.tesla.com

 

価格と性能については色々と専門家の見方があるようですが、単純な本体価格で比べた場合には14kWh 696,000円(2017.4時点)と格段に安いようです。

 

何よりも、電気自動車で培った自社のバッテリー製造、太陽光発電等の再生可能エネルギーの技術・ノウハウ(Teslaは"ギガファクトリー"という巨大工場を持つ)を活かして、他の分野に展開する発想力には驚きです。Amazonが自社のECサイトをベースに、クラウドコンピューティングサービス(AWS)で急速に成長しているのと同じ感覚を得ます。

 

Teslaの最近のニュースリリースを見ると、Tesla "Motors"ではなく、Teslaと称していることが多いようです(正式名称もTesla, Inc.であり、自動車会社ではありません)。今後、自社のコア技術・ノウハウを活かせる分野への更なる展開を考えているのかもしれません。

 

今後も急成長するTeslaに注目していきたいと思います。