アメリカで働くコンサルタントの本棚

主にM&Aやグローバルビジネスに携わり、USCPAを取得。仕事や自己啓発で役に立つ本や情報等を紹介します。

5:プライシング―消費者を魅了する「値ごろ感」の演出

プライシング―消費者を魅了する「値ごろ感」の演出

プライシング―消費者を魅了する「値ごろ感」の演出

モノ、サービスの価格決定(プライシング)について具体的な事例・手法を交えて論理的に分かりやすく解説した本です。


この本では、価格を利益を生み出す最重要な要素であるとともに、顧客、競合他社に対してモノ、サービスの価値を訴求する手段として捉えて、プライシングにあたり押さえる基本原則や実行プロセスが書かれています。特に、第6章のプライシングの分析手法では、ポケット・プライスや商品カテゴリー別・チャネル別価格弾性、ブレークポイント・ゾーン(飛躍的にCSが高まる領域)などのプライシングの分析手法が分かりやすい図とともに解説されており、実際に価格決定にかかわる方にも参考となるようになっています。


また、よくある海外の本を翻訳したものと違い、金融サービス、携帯電話、加工食品などの具体的な事例を交えて、日本企業における実態を踏まえて書かれているので、非常に分かりやすいものとなっております。


私もビジネスで価格決定のプロセスをいくつか分析したことがありますが、例えば取引先との関係から慣習的に価格が決められており、その結果、実際には赤字のビジネスに対して更に割引を提供したり、価格競争力を持つビジネスに過剰な利益を乗せて自ら事業拡大の機会を逃している、などのケースも多く経験しました。


自社のモノ、サービスの価値を正しく伝えて、かつそこから得られる利益を最大化するための参考としてお薦めしたい本です。