渋谷で働くコンサルタントの本棚

M&Aや海外ビジネス等に携わり、USCPAも取得しました。以前はコンサルタント等として働きながら、イギリスのDLMBA(遠隔学習のMBA)でも学びました。仕事、勉強などの中で見つけた役に立つ本や情報等をご紹介します。

デルタ航空‐日本航空の出資交渉

仕事などが落ち着いてきたので、久々にブログを更新します。


昨日(9月12日)から、デルタ航空による日本航空への出資がニュースになっています。

日本航空JAL)の資本増強自体は、以前から話題になっていたので特に驚きはありませんが、今回出資するデルタ航空の方が気になります。

デルタ航空が、業務提携ではなく、資本提携に踏み切る狙いは何でしょうか?
http://mainichi.jp/select/biz/news/20090912k0000m020151000c.html


新聞等で報じられている理由は、運航や整備等の共同化によるコスト削減です。
航空業界は多額の設備投資を要する装置産業であるため、空港カウンターなどの設備や航空機の整備の共有化、共同運航などができれば大きなコスト削減が見込めるでしょう。しかし、共同化だけであれば業務提携でも実現ができるものであり、あえてリスクを取ってまで300-500億円もの出資をする必要は薄いように感じます。


もう一つの理由は、JALが持つ発着枠の獲得でしょう。
価格競争力に劣るJALが、今まで存続できている最大の理由は、政府から割り当てられている成田空港などの発着枠にあると考えてます。
航空業界の場合、空港の処理能力の制約上、増やせる便数(=売上)には限りがあるため、新規参入の航空会社が売上拡大を図るには、政府から発着枠を新たに獲得するか、すでに発着枠を持っている企業と提携するのが現実的です。後者の選択として、デルタ航空は、JALの発着枠を獲得したいと考えているのでしょう。


この場合、資本提携が実現した際、最大株主であり、提携相手先であるデルタ航空JALに対して相当強気に役員派遣や就航路線の見直し・自社との共同運航などを申し入れてくるのでしょう。JALはこれまで独自路線を貫いてきましたが、出資を受け入れた場合、経営面で出資相手から相当大きな制約をうけることになるでしょう。(場合によっては、JALは日本に特化した地域航空会社のような位置付けになってしまうかもしれません。)


これはJALだけの問題ではなく、今後、国際競争がさらに激しくなる業界全般に通じる課題だと思います。
その意味でも、大変興味深いニュースです。


追伸
JAL資本提携先については、デルタ航空だけなく、アメリカン航空も名乗りを上げているようです。
http://www.ft.com/cms/s/0d390ae4-9fdc-11de-91ba-00144feabdc0,Authorised=false.html?_i_location=http://www.ft.com/cms/s/0/0d390ae4-9fdc-11de-91ba-00144feabdc0.html&_i_referer=http://www.ft.com/home/asia

JALがどちらの企業を選択するかは、今後、JALがどのように存続していくかの重要な鍵を握ると思います。

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