アメリカで働くコンサルタントの本棚

主にM&Aやグローバルビジネスに携わり、USCPAを取得。仕事や自己啓発で役に立つ本や情報等を紹介します。

銀行における人工知能の活用

先日、Google TensorFlowに関する記事を書いた直後に、日経新聞で銀行における人工知能の活用について夕刊1面に掲載されました。

 

銀行、AIで顧客開拓 三井住友は電話営業で助言 :日本経済新聞

この記事では、主な事例として、 

  • 三井住友FG:金融商品の電話営業の際に、AIがオペレーターに提案内容を助言
  • 新生銀行:口座データから、保険・投資信託等の金融商品の購入確率を算出
  • 静岡銀行:AIで算出した貸出可能額を顧客にダイレクトメールで伝える

が挙げられています。

 

この記事を読んで、先ず疑問に思うのが「これまでのコールセンターシステムや銀行の与信管理システムなどと何が違うのか」という点です。 

人工知能を有効活用するためには、その裏付けとなる膨大なデータとそのデータを分析する独自の観点が不可欠です。それがなければ、人工知能/AIと名付けても、結局は経験豊富な人間に敵わないという結果になり、折角の最新技術も十分に活用できません。

 

そういう点で考えると、恐らく三井住友FGの事例では、当初はオペレーターへの提案助言を行うものの、今後は提案の成功・失敗のデータを蓄積し、最終的には電話営業の応答を全てAIで自動化しようという試みかもしれません。

同様に新生銀行の取り組みについても、既に約300万の口座データがあるそうなので、その分析結果に基づき顧客の絞込みの効果がどれだけ上がってくるのか興味深いところです。

 

人工知能の活用にあたっては、その使いどころを見極める目とその力を養うための人間の努力がますます重要になってくると考えます。