渋谷で働くコンサルタントの本棚

M&Aや海外ビジネス等に携わり、USCPAも取得しました。以前はコンサルタント等として働きながら、イギリスのDLMBA(遠隔学習のMBA)でも学びました。仕事、勉強などの中で見つけた役に立つ本や情報等をご紹介します。

USCPA 英文会計の急所 2: Inventory / Work in Progress

今回も、私がこれまでの経験を基に英文会計で特に気を付ける"急所"を記します。

第二回目は、InventoryWork in Progressです。

 

概要

Inventoryは、日本語では棚卸資産、製造・販売等のために保有している資産であり、いわゆる在庫です。

製造業のように仕入れた材料を元に自社で製品を加工する場合、Inventoryは

Material(原材料)→Work in Progress(仕掛品)→Finished goods(完成品)

と遷移していきます(USCPAでは、これらの製造原価の計算はBECで出題されます)。

 

いずれも流動資産ですが、Inventoryは実際に販売されるまでは資金回収が図れない点に注意する必要があります。 

 

気を付ける"急所"

前回のARと同様、Inventoryも売上の伸びに従って増加すれば特に問題ないのですが、一方で売上増が伴わずにInventoryが過大に計上されているケースもあります。この場合、本来は売上原価(Cost of Goods Sold: CoGS)として計上されるべき費用が減少するため、期間中の利益が実態より多くなってしまいます。

 

そのため過剰に計上されていないかのチェックが必要です。とりわけ、Work in Progress(WIP)は原材料や完成品と異なり、現物の確認が難しく企業による主観的(恣意的)な判断が入り込む余地も高いため、定期的な残高の確認が不可欠です。 

 

こうした兆候を簡易に把握する方法としては、先ず企業が抱えている在庫の水準を示す1) Inventory Turnover ratio (在庫回転率)が役立ちます。

Inventory Turnoverは、

  • Inventory Turnover = Cost of Goods Sold / Average Inventory

により求められます。この数値は業種や企業によって異なりますので、絶対値からInventoryの多寡を判断することはできませんが、定常的に算出することで、Inventoryの水準(回転数)が突発的または徐々に悪化していないかという傾向を掴むことが可能となります。

 

加えて、前回のARと併せて、2) Weekly / Monthly Cash Flowを管理することも非常に役立ちます。

特にInventoryやWIPで継続的にCash-outが生じているにも関わらず、これらの資金回収Cash-inが遅れている場合には要注意です。先ず製品/顧客別に個々の残高を確認するとともに、当初の生産・販売計画に遅れが生じて無いか等を個別に確認することが大事です。

 

今回のまとめ

Inventory、WIPともに、売上の順調な伸びや機会損失の回避などに伴う増加ならば良いのですが、製品の陳腐化や回収の目途が立たない等の場合には将来の損失に繋がるため慎重に管理する必要があります。

また、特に長期化しているものは、実際には既に回収の目途が立たなくなっているにも関わらずInventory・WIPだけが計上され続けている、という事象もあり得ます。これらは当期に発生した費用の先送りに過ぎません。(私が過去に見た海外企業でも、明確な証跡も無くWIPの計上が続き、その残高が深刻な影響を及ぼす規模になって初めて、既に回収の見込みが無いと判明するようなケースもありました。)

 

このような事態を避けるためにも、

  1. Inventory Turnover ratio
  2. Weekly / Monthly Cash Flow

などを活用して、定期的な確認を通じて早期に適切な対処を取っていくことが重要です。

 

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