アメリカで働くコンサルタントの本棚

主にM&Aやグローバルビジネスに携わり、USCPAを取得。仕事や自己啓発で役に立つ本や情報等を紹介します。

One World: Together At Home

先日お伝えした"The iHeart Living Room Concert"に続いて、新たに米国時間の4/18にコロナウィルス拡大防止の新たなチャリティ・イベント、"One World: Together At Home"が開催されます。

 

今回はレディ・ガガが監修し、エルトン・ジョンポール・マッカートニースティーヴィー・ワンダービリー・アイリッシュなどが参加します。

www.globalcitizen.org

www.universal-music.co.jp 

Amazon Prime、YouTube、Apple、Facebook、Instagram、Twitterなど、ほぼすべての主要ストリーミングサービスで配信される予定です。本イベントは、主催者がWHOと非営利団体のGlobal Citizenであるため、日本でも視聴可能だと思います。


チャリティ・イベントとしては、1985年に行われた伝説の"LIVE AID"に匹敵する世界的なイベントになりそうです。ぜひ見逃さずに、注目してください。

DeepL - AIで極めて自然な日本語翻訳を実現

ドイツのAI企業 DeepLが、3月下旬から日本語の翻訳サービス"DeepL翻訳"を提供開始しましたが、その精度の高さに驚き、頻繁に利用するようになりました。

www.deepl.com

 

実例の一つとして、以下のCNN記事をDeepLとGoogleでそれぞれ翻訳してみました。

Japan coronavirus: People won't work from home until Shinzo Abe makes them - CNN

DeepL翻訳

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DeepL

Google翻訳

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Google 翻訳

DeepLは「埼玉県の隣県」という箇所に誤訳はありますが、その他に大きなミスはありません。Googleも同様に大きなミスは無いですが、最終段落の文章のつなぎなどが一部不自然な印象を受けます。

 

どちらの訳文も、かつての翻訳サービスと比べるとかなり改良されていますが、DeepLの方がより自然な文章に近くて読みやすく、精度も極めて高いため、私は自分の書いた英文を翻訳にかけて意味が伝わるか、というチェックに主に活用しています。

 

DeepLは、4/2にもブラジルポルトガル語を追加するなど対応言語を増やしており、また有償プラン“DeepL Pro”を利用すれば、文字数制限がなくなる等のサービスを受けられます(例えば、ビジネス文書や契約書の翻訳が利用しやすくなります)。

 

翻訳サービスは以前から色々試していますが、AIにより遂に実用に耐え得る高いレベルのサービスが登場した、と強く感じています。

 

追伸

有償プランのDeepL Proですが、残念ながら未だ欧州圏以外では利用できないようです。大変良いサービスなので、私の地域でも使えるようになったら、すぐに利用したいと思います。

The iHeart Living Room Concert

コロナウィルスの影響が広がる中、米国ではエルトン・ジョンがホストとなり、医療機関や患者、子供たち等を支援するチャリティ・イベント、"The iHeart Living Room Concert"が開催されました。

 

マライア・キャリーバック・ストリートボーイズ、今年のグラミー賞を受賞したビリー・アイリッシュなど有名アーティストが参加(レディ・ガガもメッセージで登場)。

news.iheart.com

 

一番の特徴は、自宅待機が続く米国の現状を考慮して、各アーティストがそれぞれ自宅のリビングルームから曲を披露したり、メッセージを呼びかけたことです。

普段と異なる、アーティストの素の一面が垣間見えるとともに、困難な状況の中でも皆で力を合わせて乗り越えよう、というメッセージを強く感じました。

 

YouTubeでも一部視聴できるため、ぜひご覧ください。

マライア・キャリーの圧巻のパフォーマンス(自宅スタジオから)

www.youtube.com

各アーティストのパフォーマンスのビデオ・クリップ

www.youtube.com

Amazon、レジ無し決済 "Just Walk Out"技術を販売へ

今週、レジ無し店舗のAmazon Goで使われている決済テクノロジー"Just Walk Out"が外部の小売店に販売されることが明らかになりました。

 

CNBCによると、最初の導入店舗はニューヨークのニューアーク空港内にある売店のCIBO Expressで、3/16から提供予定です。また、その後に同空港やラガーディア空港内の他店舗に展開を見込んでいるそうです。

www.cnbc.com

 

Just Walk Outは、Amazon Goで培ったテクノロジーの結晶であり、買い物客が手にした商品の識別からバーチャル・カート上での管理、レジを利用しない自動精算などを実現します。従来のAmazon Goと異なる点として、Amazonのアカウントを作らなくてもクレジットカードで精算できるようにしました。つまり、Amazonがオンライン店舗で導入していたことを、実際のリアルな店舗でも実現したものと言えます。Amazonは、Just Walk Outを外部に販売する方針を既に発表しています。

www.justwalkout.com

 

Amazonでは、これまで自社のECサイトを誰でも出品できるようにしたり、ECサイトのインフラであったAmazon Web Services(AWS)をクラウド・サービスとして提供するなど、自社技術を外部に展開することで更に事業を拡大してきました。

今回のJust Walk Outも、自社の決済ソリューション&ビッグデータを小売の実店舗に幅広く展開する動きとして注目しています。

 

Squareを支える小口ローンビジネス - Square Capital

アメリカは、今やファーマーズマーケット、フードトラック、個人商店など、どこでもカードで支払いができます。それを支えているのは決済サービスのSquareです。

 

Squareの主力ビジネスは、スマホ、タブレットを利用したカード決済です。基本となるカードリーダーは無料で配布し、アプリをダウンロードすれば誰でもすぐにカード決済が使える環境を提供して、急速に利用者を伸ばしてきました。

 

Squareの特徴は、分かりやすい料金体系です。Squareは決済サービスの料金を分かりやすく示すことで、主なターゲットの中小企業や個人事業主が安心して利用できるようにしました。2020年3月時点で、米国でのクレジットカード取引の手数料は2.6% + 10セントです

米国

squareup.com

日本 

squareup.com

 

現在は、カード決済に加えてPoSレジやデータ分析などの便利な機能も提供し、個人や中小企業だけでなく、スターバックス等の大手企業にも利用が広がっています。また、米国以外にカナダや英国、日本でもサービス展開中です。

 

その中で、同社を支えているもう一つのビジネスとして注目したいのがSquare Capitalです。

これは、Squareの利用者である中小企業や個人事業主に対して、銀行などの金融機関が提供できない数百ドルからの小口ローンを提供するものです。

小口ローンには、以前から給与や取引先への支払い、設備投資等において根強い需要がありますが、一方で金額が比較的小さく、与信審査も難しいことから、従来の金融機関では充分な対応が取りにくい領域でした。

これに対して、Square Capitalでは従来の審査に頼ることなく、自社の決済データを活用してカード取引量の増減や利用頻度を見ることで、必要な時にすぐ小口ローンを提供できるようにしました。また、ローンの返済が滞っても、カード決済の債権から自動的に回収することで貸し倒れリスクを抑えています。

 

その結果、Square Capitalの利用は広がり、過去2年間で1,000億円・10万件以上の貸出実績がある、同社を支えるもう一つの主力ビジネスに成長しています。

squareup.com

 

Squareに代表されるフィンテック企業は、既存のビジネスをデジタルに置き換えるだけではなく、そこから得られるデータを活用した新たなビジネスも開拓しています。今後も、こうした企業の動向に注目していきたいと思います。

オンライン・エクササイズの雄 - Peloton

現在、世界中でコロナウィルスの影響が広がり、運動不足になっている方も多いのではないかと思います。

 

その中で、今回はアメリカで人気を集めているオンライン・エクササイズPelotonを紹介したいと思います。

www.onepeloton.com

 

Pelotonの特徴は、

  • オンラインにつながったフィットネス機器(バイク、トレッドミル)
  • SNS機能を持つ独自フィットネス・アプリ
  • 豊富なエクササイズ・プログラム

を組み合わせることで、単調で飽きやすくなる運動の習慣を「いつでも・どこでも」やる気を維持しながら続けられるようにしました(月間の解約率は1%未満)。

 

特にエクササイズ・プログラムは、スタジオで撮影した人気インストラクターの豊富な動画を配信しています。(2020年2月末現在、バイク・ランニング・ヨガ等の10カテゴリーで、33人のインストラクターがいます。)以前に流行った「ビリーズブートキャンプ」の最新作が次々に楽しめるといったイメージです。

www.onepeloton.com

 

また利用しやすいようにバイク、トレッドミルは分割払いで58ドル/月から購入でき、サブスクリプション型のオンラインレッスン(37ドル)と合わせても、月100ドル以下で最先端のエクササイズが楽しめる点が人気につながっています。

www.onepeloton.com

 

 

実際、Pelotonの利用者は全米各地に広がっており、35歳以下・平均年収 75千ドルと比較的若くてよりお手頃なサービスを求める世代を中心に人気が広がっているようです。(またアメリカは国土が広いため、近くにジムが無い方にも利用しやすいのではないかと見ています。)

 

このPelotonのビジネスモデルは、会社にとってもメリットが多く、 

  • 大きなコストがかかるスタジオ施設を用意する必要がない
  • 利用者増加に合わせてインストラクターを増やす必要がない
  • エクササイズ・プログラムを繰り返し利用できる

というサブスクリプションモデルの強みを兼ね備えており、今後、利用者が増えるほど収益が拡大していくことが期待できます(なお、現時点では赤字です)。そのため、Pelotonも同じ英語のプログラムが使用できるカナダや英国、ドイツからグローバル展開を始めています。戦略を考えると、日本への展開は少し先ではないでしょうか。

 

Pelotonは、エクササイズだけでなく、そのビジネスモデルにも注目していきたいと思います。

 

追伸

その他のオンライン・エクササイズで人気を集めている会社にはMirrorもあります。

こちらはオンラインに接続した鏡(実はディスプレイ)から様々なレッスンが流れるというものです。ドラえもんの道具みたいですね。また機会があれば、こちらも紹介したいと思います。

www.mirror.co