アメリカで働くコンサルタントの本棚

主にM&Aやグローバルビジネスに携わり、USCPAを取得。仕事や自己啓発で役に立つ本や情報等を紹介します。

ワシントン州 CPAライセンス取得/更新サイトの刷新

先日、 ワシントン州でのCPAライセンスの取得/更新を行うState Board of Accountancy (会計士協会)のWebサイトが刷新されました。


具体的には、以下の同協会サイトの右上から、個人用のサイトに移動します。

Board of Accountancy |

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今回の更新で一つ気になったのは、新たに2段階認証プロセスが導入されたことです。従来のID・パスワードに加えて、別の認証方法が求められるようになりました。

この際、1) 米国内の電話番号、2) メールの登録がそれぞれ求められます。実際のログイン時に使用されるのは、このどちらか一つです。以下の例では、メールによる認証でアクセスできました。

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個人用のサイトにログインした後は、これまで通りにライセンス取得の申込みや更新手続き、そのために必要なCPE単位の管理などが行えます。以前よりも見やすくなった印象です。

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WA_Main Menu

 

 

今回追加された2段階認証プロセスは、アメリカの金融機関などでも、セキュリティ向上のために導入する機関が増えていますが、その流れに沿ったものだと思います。一方で、日本からワシントン州のCPAライセンスを取得した場合、アメリカ国内の電話番号がないと少し困るのではないかと思います。

今後、アクセスする際に電話番号が求められた場合があれば、その対処なども追記していきたいと思います。

5: 1兆ドルコーチ - シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え

今回紹介するのは、Appleのスティーブ・ジョブズ、Googleのエリック・シュミット、ラリー・ペイジなどの"コーチ"であったビル・キャンベルについての本です。 

 

1兆ドルコーチ シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え

 

ビル・キャンベルは、コロンビア大学フットボールチームの主将、ヘッドコーチを経てビジネス界に入り、Appleの幹部や税金・会計ソフトで有名なIntuit CEO等を歴任して、シリコンバレーの経営者たちと知り合います。

 

しかし、この本が伝えるのはビジネスのノウハウやシリコンバレーでのコネクションの作り方ではありません。カリスマ経営者にとっても、企業を成功に導くためにはお互いに助け合える経営チームが大事であること、そして厳しい状況でも率直な意見を言ってくれるメンターの重要性を教えてくれます。

 

シリコンバレーの企業では、スーパースターが新しいビジネスを次々に切り拓いていくイメージがありますが、Googleなどのエピソードを通じて、実際には多様な才能を持つ人材が織り合わされたチームがつくられて初めて上手くいくことが分かります。

1985年にスティーブ・ジョブスがAppleを追放された時、最後まで反対した幹部がビル・キャンベルでした。ジョブスもその誠意を忘れず、Apple復帰後にビルを取締役に指名し、信頼できるパートナーとして意見を求めたという逸話が印象的です。どんなに天才的なリーダーでも、苦しい時に相談できる相手がいなければ、成功を続けることはできないのです

 

こちらでスティーブ・ジョブスのCelebration Eventで弔辞を読む、実際のビル・キャンベルの映像を見ることができます。これを見ると、ビジネスを超越して、深い信頼関係で二人が結ばれていたことがよく分かります。

www.youtube.com

 

シリコンバレーに生きるリアルな人々を感じられる本として、ぜひお勧めします。 

 

補足

余談ながら、この本にはシリコンバレーの地名やレストラン、学校などが頻繁に登場します。そのうちの一つ、ビルの仲間たちが集っていたPalo Altoのスポーツバーがこちらです。壁一面に大学フットボールチームのロゴなどが掲げられています。現在はコロナ禍で休業中ですが、機会があれば訪問してみてください!

Old Pro

oldpropa.com

 

4: 民主党のアメリカ 共和党のアメリカ

今週、ジョー・バイデン大統領の就任式が行われました。

結束(Unity)を呼びかけた就任演説とともに、レディ・ガガによる国歌斉唱やトランプ前大統領の欠席なども話題を集めました。個人的には、就任式で詩を朗読したアマンダ・ゴーマンさんが素晴らしく、混沌の中にも希望を感じました。

www.youtube.com

 

今回、4年ぶりに共和党から民主党政権に移りましたが、アメリカの二大政党制を理解する上で、次の本が参考となりました。 

民主党のアメリカ 共和党のアメリカ

 

一般に、「リベラル」の民主党、「保守」の共和党と捉えられますが、実際には両党は歴史的にも大きく主張を変えてきています(例えば、奴隷制を支持し、トランプ前大統領の執務室にも肖像画が飾られていたアンドリュー・ジャクソンは民主党)。

本書は、前回の2016年大統領選に書かれたものですが、現在のアメリカが置かれている環境は、単純な対立軸で判断できるものではなくなっています。特にコロナ禍における経済的な影響やBlack Lives Matterの抗議運動などを経て、経済・教育・健康面の格差はますます拡がっており、各政治家もそれぞれの立場に応じて大きく主張が異なります。

 

今回発足したジョー・バイデン政権は、「コロナ対策」「地球温暖化」「人種間格差」「経済」などを最優先課題に掲げています。この中で、温暖化への対応や人種の多様性などはこれまでの民主党の路線を踏襲しながら、経済面では200兆円の追加対策を要請するなど、「大きな政府」を志向する共和党と変わらぬ政策を打ち出しています。

ジョー・バイデン政権の優先課題

www.whitehouse.gov

 

本書では、現在のアメリカの抱える課題が多様で複雑なものとなっていることが丁寧に描かれています。そうした中で、これまでのトランプ政権、そして新たなジョー・バイデン政権がどのように対応するのか、理解を深めるのにとても参考となります。 

4: 反省しないアメリカ人をあつかう方法

海外、特にアメリカ人と仕事をする際に、なかなかこちらが思ったように進まないことがあります。締め切りを守らない、メールが返事がない、文句が多い、etc...

 

そんな時におすすめしたい本が、こちらになります。

反省しないアメリカ人をあつかう方法34 アルク はたらく×英語シリーズ

 

私も、アメリカ人とのプロジェクトにおいて、ミーティングの席上は前向きなコメントばかりあるものの、実際には一向に進展しないことがありました。こちらの本を手にして、日本とは「締切」のニュアンスが違うこと、攻撃的な雰囲気を作らずに自分の依頼を守ってもらうにはどうすれば良いかなど、相手の言動に理解が深まり、コミュニケーションがスムーズになりました。

 

また、日本人や日本企業がおかしがちなコミュニケーション上のミスや不可解にうつる慣習なども取り上げられています。

 

著者は、アメリカ人・日本人とともに働いた経験がある米国の経営コンサルタントです。その経験を踏まえて、お互いの長所を活かした「ハイブリッド文化」(行動様式や仕事のやり方)を作り上げることを提案しています。日米双方の良い点・悪い点を理解して、自分たちの仕事のやり方を見直す良いキッカケになると思います。

USCPA CPE (継続教育)の教材について

前回書いたUSCPAライセンスのCPE取得にあたり、CPE教材を提供しているサービスをご紹介します。

 

NASBA (全米州政府会計委員会)は、CPE教材を提供する会社を登録制にしています。要件を満たした会社を以下のサイトに公開しており、Registry IDで登録されている会社かどうか、確認することができます。 

NATIONAL REGISTRY OF CPE SPONSORS

Sponsors - NASBA Registry

 

次いで、CPEの受講方法としては、主に集合研修、セミナー、オンライン研修、eラーニングによる自己学習等があります。

このうち、会計事務所や研修会社等が提供している研修、セミナーに参加することでCPEを取得できますが、時間・費用が掛かるのが少し難点です。

 

そのため、私が選んでいるのは、eラーニングによる自己学習です。

有名なのは、AICPA (全米公認会計士協会) が提供しているCPE教材です。オンライン・サービスのCPExpressでは、年間 $275 - $459 (2021年1月時点)で多数のコースを受講できます。また、1-2単位のコースも充実しているため、空いた時間で勉強しやすいのも魅力の一つです。

AICPA - CPE self-study

AICPA Store | CPE & Training |Continuing Professional Education (CPE) and Learning Tools for Accounting Professionals


 

一方、ワシントン州の最新ルールでは、毎年、最低 20単位以上の取得が義務付けられているため、年間の費用は少しでも安い方が助かります。

そのため、私は同じく定額制のオンライン・サービスであるCPE Depotを選んでいます。

CPE Depot

CPE Depot - Home

 

こちらは年間 $149 - $249 (2021年1月時点)となっています。Webサイトはシンプルですが、豊富なコースが揃っており、CPEの取得には十分です。Final Examに70%以上正解するとコース修了です(70%に達しない場合、何度でもやり直しできます)。また、教材はPDFで保存もできます。

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私の場合、主にCPE Depotで空いた時間を活用しながら、少しづつCPE単位を取りました。

最近はコロナ禍でオンライン形式の研修も増えているため、機会がある時にリモートの研修にも参加してみたいと思います。皆さんの参考になれば幸いです。

 

USCPA ライセンス更新時のCPE単位(ワシントン州)

前回のライセンス更新手続きで述べたCPE単位について、少し補足したいと思います。

 

ライセンスを維持するためには、所定の期間内にCPE(継続教育)に取り組み、必要な単位数を満たす必要があります。私が登録しているワシントン州は120単位が必要です。

 

こちらのCPE単位について、ワシントン州では2020年から新たなルールが適用されています。大きくは、次の通りです。

  • 3年間にCPE 120単位の取得が必要
  • 毎年、最低 20単位以上を取得
  • Non-Technical Subjectは60単位まで
  • ワシントン州指定のEthics 4単位は必須 

 

ルール改正時、ワシントン州から送られてきた以下の案内に必要な最低単位数が分かりやすく示されています。最終年度にまとめて取得するのはダメ、ということですね。

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その他、講師等によるCPE取得の上限(60単位)最小0.2単位から取得できるNano Learning導入などのルール変更がありました。今後も継続的な見直しがあるでしょう。

 

USCPAのライセンス更新にあたっては、計画的に準備を進めるのが良さそうですね。

 

補足

今回は、ワシントン州のCPE要件について説明しましたが、他の州の要件については、こちらのNASBAのサイトに公開されています。ご参考ください。

www.nasbaregistry.org