アメリカで働くコンサルタントの本棚

主にM&Aやグローバルビジネスに携わり、USCPAを取得。仕事や自己啓発で役に立つ本や情報等を紹介します。

Tesla、新型モデル "Model S Plaid"を発表

今週、Teslaはシリコンバレーの工場で最新モデルとなる"Model S Plaid"の発表イベントを開催しました。

 

最大の特徴は、史上最速の加速性能。60m/h(時速約100km)に至るまでの時間はわずか1秒99であり、従来のModel Sの2秒28を更に上回ります。

イベントの冒頭、イーロン・マスクがPlaidに乗って登場しますが、立ち上がりの加速度はまるでロケットのようです!

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加えて、一新された内装も目を引きます。斬新な横長のハンドルは、まるでゲームの世界です。また、前方の大型ディスプレイに加えて、後部座席にもディスプレイが搭載されたため、ドライブ中に別々に映画やゲームを楽しむこともできます(運転には気を付けましょう!)。

relates to マスク氏、テスラ最速車種「モデルSプレイド」披露

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そして目立たないながらも、充電時間と航続距離も改良を続けています。Plaidの航続距離は最大 390マイル(約624キロ)、日本ならば東京から大阪まで行けます。また、1回15分の充電でも187マイル(約300キロ)を走行することができます。以前に旧型のModel Sに乗った際、常にバッテリーの残量と充電場所を気にしながら運転していたので、この改善は大きいです。

※Teslaの充電は主にChargerで行いますが、Chargerが空いてなかったり、Charger性能により時間がかかることもあるため、外出時も計画が立てずらいのが課題の一つと感じていました。

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最新性能を誇るModel S Plaid、米国ではイベント中に最初の25台の納車を開始しました。

価格は約13万ドル(約1420万円)で、今後は継続的に生産を続けています。先ず米国での販売となりますが、日本にも登場するのが待ち遠しいですね。

 

補足

新型モデルのModel S/Xでは、PlayStation 5にも採用されている高性能なGPUを使用しているそうです。そのため、車内でも最新のゲーム機並みのクオリティでゲームが遊べるのですね。

 

 

4: バブルの歴史

今回紹介するのは、バブルの歴史です。500ページを超える長編ですが、 とても興味深く、仕事の合間などに少しづつ読み進めました。

バブルの歴史

 

バブルの記憶が残る2000年に出版(新訳は2018年)された本で、チューリップ投機、南海泡沫事件をはじめ、ブラックマンデー、日本のバブル経済、ヘッジファンドLTCMの破綻まで、代表的な出来事を当時の時代背景や人々の動きとともに丁寧に描いています。

 

一つの例として、18世紀イギリスの南海会社への投機ブームでは、株価が上がれば上がるほど国王・政府・会社の全員が得するスキームの下、半年で約10倍に株価が上昇しました。また、ブームに乗じて、不動産開発、工業・金属、保険などの様々なベンチャー企業(泡沫会社)が誕生しました。

しかし、株価上昇の勢いが止まると、一転して市場は暴落し、南海会社の株価はわずか四週間で約75%下落しました。また、バブル崩壊後はベンチャー企業の大半も消滅しました。

興味深いのは、暴落の引き金になる決定的な要因が特にあったわけではなく、株価上昇の勢いがなくなったところで、突然下落していることです。バブルをもたらした好循環の仕組みが逆に働き、急激にバブルがしぼんでいったのです。

 

 

また、日本のバブル景気についても、不動産価格の高騰(日本の不動産評価額は約2千兆円=アメリカの4倍)や、美術品・ゴルフ会員権市場の加熱、株式市場でも株価収益率が軒並み100倍を超えてたことなどが取り上げられています。あらためて数値を見ると驚きです。

 

現在の環境を振り返ってみても、コロナ禍での金融緩和の長期化や景気対策等により、米国等でも市場の過熱が見られます。まさに今、この本が示す歴史は繰り返すという教訓を忘れずに、気を引き締めていきたいと思います。

 

 

 

 

ワシントン州 CPAライセンス取得/更新サイトの刷新

先日、 ワシントン州でのCPAライセンスの取得/更新を行うState Board of Accountancy (会計士協会)のWebサイトが刷新されました。


具体的には、以下の同協会サイトの右上から、個人用のサイトに移動します。

Board of Accountancy |

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今回の更新で一つ気になったのは、新たに2段階認証プロセスが導入されたことです。従来のID・パスワードに加えて、別の認証方法が求められるようになりました。

この際、1) 米国内の電話番号、2) メールの登録がそれぞれ求められます。実際のログイン時に使用されるのは、このどちらか一つです。以下の例では、メールによる認証でアクセスできました。

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個人用のサイトにログインした後は、これまで通りにライセンス取得の申込みや更新手続き、そのために必要なCPE単位の管理などが行えます。以前よりも見やすくなった印象です。

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今回追加された2段階認証プロセスは、アメリカの金融機関などでも、セキュリティ向上のために導入する機関が増えていますが、その流れに沿ったものだと思います。一方で、日本からワシントン州のCPAライセンスを取得した場合、アメリカ国内の電話番号がないと少し困るのではないかと思います。

今後、アクセスする際に電話番号が求められた場合があれば、その対処なども追記していきたいと思います。

5: 1兆ドルコーチ - シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え

今回紹介するのは、Appleのスティーブ・ジョブズ、Googleのエリック・シュミット、ラリー・ペイジなどの"コーチ"であったビル・キャンベルについての本です。 

 

1兆ドルコーチ シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え

 

ビル・キャンベルは、コロンビア大学フットボールチームの主将、ヘッドコーチを経てビジネス界に入り、Appleの幹部や税金・会計ソフトで有名なIntuit CEO等を歴任して、シリコンバレーの経営者たちと知り合います。

 

しかし、この本が伝えるのはビジネスのノウハウやシリコンバレーでのコネクションの作り方ではありません。カリスマ経営者にとっても、企業を成功に導くためにはお互いに助け合える経営チームが大事であること、そして厳しい状況でも率直な意見を言ってくれるメンターの重要性を教えてくれます。

 

シリコンバレーの企業では、スーパースターが新しいビジネスを次々に切り拓いていくイメージがありますが、Googleなどのエピソードを通じて、実際には多様な才能を持つ人材が織り合わされたチームがつくられて初めて上手くいくことが分かります。

1985年にスティーブ・ジョブスがAppleを追放された時、最後まで反対した幹部がビル・キャンベルでした。ジョブスもその誠意を忘れず、Apple復帰後にビルを取締役に指名し、信頼できるパートナーとして意見を求めたという逸話が印象的です。どんなに天才的なリーダーでも、苦しい時に相談できる相手がいなければ、成功を続けることはできないのです

 

こちらでスティーブ・ジョブスのCelebration Eventで弔辞を読む、実際のビル・キャンベルの映像を見ることができます。これを見ると、ビジネスを超越して、深い信頼関係で二人が結ばれていたことがよく分かります。

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シリコンバレーに生きるリアルな人々を感じられる本として、ぜひお勧めします。 

 

補足

余談ながら、この本にはシリコンバレーの地名やレストラン、学校などが頻繁に登場します。そのうちの一つ、ビルの仲間たちが集っていたPalo Altoのスポーツバーがこちらです。壁一面に大学フットボールチームのロゴなどが掲げられています。現在はコロナ禍で休業中ですが、機会があれば訪問してみてください!

Old Pro

oldpropa.com

 

4: 民主党のアメリカ 共和党のアメリカ

今週、ジョー・バイデン大統領の就任式が行われました。

結束(Unity)を呼びかけた就任演説とともに、レディ・ガガによる国歌斉唱やトランプ前大統領の欠席なども話題を集めました。個人的には、就任式で詩を朗読したアマンダ・ゴーマンさんが素晴らしく、混沌の中にも希望を感じました。

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今回、4年ぶりに共和党から民主党政権に移りましたが、アメリカの二大政党制を理解する上で、次の本が参考となりました。 

民主党のアメリカ 共和党のアメリカ

 

一般に、「リベラル」の民主党、「保守」の共和党と捉えられますが、実際には両党は歴史的にも大きく主張を変えてきています(例えば、奴隷制を支持し、トランプ前大統領の執務室にも肖像画が飾られていたアンドリュー・ジャクソンは民主党)。

本書は、前回の2016年大統領選に書かれたものですが、現在のアメリカが置かれている環境は、単純な対立軸で判断できるものではなくなっています。特にコロナ禍における経済的な影響やBlack Lives Matterの抗議運動などを経て、経済・教育・健康面の格差はますます拡がっており、各政治家もそれぞれの立場に応じて大きく主張が異なります。

 

今回発足したジョー・バイデン政権は、「コロナ対策」「地球温暖化」「人種間格差」「経済」などを最優先課題に掲げています。この中で、温暖化への対応や人種の多様性などはこれまでの民主党の路線を踏襲しながら、経済面では200兆円の追加対策を要請するなど、「大きな政府」を志向する共和党と変わらぬ政策を打ち出しています。

ジョー・バイデン政権の優先課題

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本書では、現在のアメリカの抱える課題が多様で複雑なものとなっていることが丁寧に描かれています。そうした中で、これまでのトランプ政権、そして新たなジョー・バイデン政権がどのように対応するのか、理解を深めるのにとても参考となります。 

4: 反省しないアメリカ人をあつかう方法

海外、特にアメリカ人と仕事をする際に、なかなかこちらが思ったように進まないことがあります。締め切りを守らない、メールが返事がない、文句が多い、etc...

 

そんな時におすすめしたい本が、こちらになります。

反省しないアメリカ人をあつかう方法34 アルク はたらく×英語シリーズ

 

私も、アメリカ人とのプロジェクトにおいて、ミーティングの席上は前向きなコメントばかりあるものの、実際には一向に進展しないことがありました。こちらの本を手にして、日本とは「締切」のニュアンスが違うこと、攻撃的な雰囲気を作らずに自分の依頼を守ってもらうにはどうすれば良いかなど、相手の言動に理解が深まり、コミュニケーションがスムーズになりました。

 

また、日本人や日本企業がおかしがちなコミュニケーション上のミスや不可解にうつる慣習なども取り上げられています。

 

著者は、アメリカ人・日本人とともに働いた経験がある米国の経営コンサルタントです。その経験を踏まえて、お互いの長所を活かした「ハイブリッド文化」(行動様式や仕事のやり方)を作り上げることを提案しています。日米双方の良い点・悪い点を理解して、自分たちの仕事のやり方を見直す良いキッカケになると思います。