達人のサイエンス―真の自己成長のために
今回は、「達人のサイエンス」です。10年前に出版された本なのですが隠れた名著だと思います。
何か新たに学ぼうとした時の心構えや、その過程で出会う困難と乗り越え方などが書いてある本ですが、スポーツの事例や逸話を交えて、数々の示唆に富んだ内容となっています。
私の気に入った逸話の一つには、新しく学ぶ時の前提条件についての「禅僧と頭のいい男」の例え話があります。
自分の頭のいいのを鼻にかけた男が、自分はもっと賢くなりたいが、どうしたら良いかと禅僧に尋ねた。禅僧はただその利口な男の湯呑みにお茶を入れ続ける。湯呑みからお茶があふれてその利口な男がずぶぬれになっても、禅僧はお茶を注ぐのをやめない。これによって禅僧はその男に、一杯になった湯呑みにはもうそれ以上は何も入らないことを教えたのである。
私自身もいろいろ知識や経験を重ねてくると、ついついそれは知っている、それは昔やったことがある等々と思いがちです。そんな時、この逸話を思い出してみたいと思います。他にも、プラトー(伸び悩んでいる時期)の対処やスランプを抜け出すテクニックなどの実用的なことも書いてあります。(*著者自身の合気道の経験を交えて書いていますので、ちょっととっつきにくい方もいるかもしれません。)
勝利や成績などの目標達成だけを目的とせずに、目標を達成するまでの練習や実践などの過程を楽しみ、毎日の生活の中から何かを得ていくことの大事さを気付かせてくれる、そんな本です。私にとっても、DLMBAや仕事、ゴルフなどの色々な面で参考になりそうです。