久しぶりに非常に面白い本に出会いました。
ボストン・コンサルティングの日本採用第1号コンサルタントであり、事業再生の専門家として数々の企業でトップを歴任した三枝匡氏が、社長を務めたミスミで取り組んだ12年間にわたる改革の日々をまとめたものです。
「戦略プロフェッショナル」等の3部作が大変優れた本でしたので、新たに出版された本書も期待して読みましたが、その期待以上の内容でした。
ミスミで直面した様々な課題に対して、どのような判断を下して行動したのかをストーリー仕立てで展開するスタイルは過去の3部作と同様とても読みやすいです。
特に今回は、ミスミという実在の企業が急成長・グローバル化する中で起こった出来事を、経営者である三枝氏の経験に加えて社員からの証言等を基に丁寧に描かれており、旧著に比べても非常に迫力があります。
また、ストーリーの合間に記されている「経営者の謎解き」やフレームワークは、事業の分かれ目になる局面で、三枝氏がどのような思考過程を経て最終的な判断に至ったのかが明確に整理されており、経営者の考えをうかがい知るのにも大変参考になります。
この本に描かれている出来事は、置かれている立場や事業環境等は異なるものの、多くの人が企業の中で身近に経験するものばかりです(例えば、私の場合はグローバル化に日々格闘しています...)。
そのため、私達が同じような場面に直面した時にも、置かれている状況を整理し、自身の判断力を磨き上げて、行動するための指針となる本と言えます。
最後に、ご参考までに過去の3部作はこちらになります(「戦略プロフェッショナル」はコンサルタントになりたての時期に熟読しました)。