年末年始にかけて、多くの人工知能に関する話題がありました。
新年の特集でも人工知能を取り上げるメディアも多くあり、今後もこの流れは確実に更に加速していくものと思います。
今回は、これらのニュースの中から、特に気になったものを幾つかピックアップします。
1. Google 囲碁AI"AlphaGo"の更なる進化
2016年12月末にインターネット囲碁サイトに謎の棋士「Master」が現れて、トッププロを含めて60連勝を記録しましたが、翌1月5日にGoogleが自社開発の囲碁AI"Alpha Go"の進化版であることを発表しました。
この記事の驚くべき点は、 人工知能の進化の速さです。
昨年11月に同じく囲碁AIの"DeepZenGo"が趙治勲名誉名人に勝ち越した際、現在の日本囲碁界のトップである井山裕太六冠は「人工知能は、いつか人間を超えるだろう」とのコメントをしましたが、それから僅か一ヶ月でその井山六冠をも上回る囲碁AIが登場したのです。
現在は囲碁という限られた用途ですが、人工知能の進化の速さを眼前に示したという点で大きな衝撃を与えたニュースでした。
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2. Facebook ザッカバーグCEOが自宅用の執事型AIを公開
続いては、 昨年末にFacebookのザッカバーグCEOが自宅に導入した執事型AIのビデオを公開したことです。これは、元々2016年の個人目標として挙げていた「自宅用の人工知能を開発する」というプロジェクトの成果を示したものです。
以下のニュースや公開したビデオから実際に導入したAIの内容を見ることができますが、音声だけで自宅のシステムを次々に操作していく近未来的な様子に驚くとともに、前述の囲碁AIとは反対に個人的には現時点での人工知能の限界を感じるものでもありました。
ザッカバーグ氏の意欲的な取り組みには心から賞賛するものの、同氏自身も「学習材料を与えずに、完全に自ら新しいスキルを身につけられるシステムの構築は、例えあと1000時間費やしても難しい」 と認めているように本当に家庭レベルの幅広い用途に人工知能を適用するには、現時点ではまだ多くの課題を乗り越えなければならないことを実感したニュースです。
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3. ヤフーの考える人工知能による「3つの自動化」
最後は、ヤフーのチーフストラテジーオフィサー(CSO)である安宅和人氏が人工知能の活用に関して話した内容を取り上げた記事です。
安宅和人氏は、様々なところでAIやビッグデータに関する講演を行っておりますが、この記事で取り上げられている機械学習ベースのAIがもたらす3つの「自動化」の視点は、今後の人工知能の発展を考える上でとても参考となります。
具体的には、最初は音声・画像・動画等の意味理解をする「識別の自動化」、次いで数値やニーズを予測する「予測の自動化」、そして作業や行動などを自動化する「実行の自動化」というものです。
このうち、自動車の自動運転技術など、現時点で実用化を目指しているAIの多くはまだ最初の「識別の自動化」に留まっているように思います。しかしながら、これらのAI活用が進み、データが蓄積されていくに従って、冒頭に上げた囲碁AIのように「予測の自動化」、更には「実行の自動化」という次の段階に驚くべき速さで進化していくのではないかと考えます。
他にも、年明け以降も人工知能に関するニュースが次々に出ています。今後もこれらを取り上げていきたいと思います。