アメリカで働くコンサルタントの本棚

主にM&Aやグローバルビジネスに携わり、USCPAを取得。仕事や自己啓発で役に立つ本や情報等を紹介します。

4: 「不正会計」対応はこうする・こうなる

2015年の不正会計の発覚に端を発した東芝の経営危機は、二度の決算発表の延期という異例の事態を経て、いよいよ多額の損失が生じる主因となったウェスティングハウス社の破産法申請手続きに入る局面となりました。

 

「選択と集中」を掲げて半導体で国内首位、原子力で世界首位に躍進した時期には、現在のような苦境に陥ることを想像できた人は殆どいなかったのではないでしょうか。

 

今回紹介する書籍は、大規模な不正会計が生じる要因や生じやすい会社の特徴、不正を防ぐための仕組みや事後対応などを法律や会計基準等も交えて解説したものです。多角的かつ分かりやすく内容がまとめられており、非常に読みやすい本です。

「不正会計」対応はこうする・こうなる

 

その上で、本書の最大の特徴は、「不正会計の経営分析」や「循環取引」等を実際に不正会計が生じた企業の事例を基に詳しく解説している点にあります。

取り上げられた事例は、急成長したIT企業や大手インフラ企業の子会社など、発生当時はメディア等で扱われたものも多く含まれています。また、第10章の不正会計事例ではオリンパスや東芝なども取り上げられています。

(東芝は、ウェスティングハウス社の減損処理が生じる前でしたが、補足の中で既に減損に関して言及がなされています。)

 

本書で取り上げられた企業には、個人的に詳しく知っている事例も含まれていましたが、改めて客観的に見直す際にも参考になりました。その点からも分かりやすく、よくまとまっている本だと思います。