アメリカは、今やファーマーズマーケット、フードトラック、個人商店など、どこでもカードで支払いができます。それを支えているのは決済サービスのSquareです。
Squareの主力ビジネスは、スマホ、タブレットを利用したカード決済です。基本となるカードリーダーは無料で配布し、アプリをダウンロードすれば誰でもすぐにカード決済が使える環境を提供して、急速に利用者を伸ばしてきました。
Squareの特徴は、分かりやすい料金体系です。Squareは決済サービスの料金を分かりやすく示すことで、主なターゲットの中小企業や個人事業主が安心して利用できるようにしました。2020年3月時点で、米国でのクレジットカード取引の手数料は2.6% + 10セントです。
米国
日本
現在は、カード決済に加えてPoSレジやデータ分析などの便利な機能も提供し、個人や中小企業だけでなく、スターバックス等の大手企業にも利用が広がっています。また、米国以外にカナダや英国、日本でもサービス展開中です。
その中で、同社を支えているもう一つのビジネスとして注目したいのがSquare Capitalです。
これは、Squareの利用者である中小企業や個人事業主に対して、銀行などの金融機関が提供できない数百ドルからの小口ローンを提供するものです。
小口ローンには、以前から給与や取引先への支払い、設備投資等において根強い需要がありますが、一方で金額が比較的小さく、与信審査も難しいことから、従来の金融機関では充分な対応が取りにくい領域でした。
これに対して、Square Capitalでは従来の審査に頼ることなく、自社の決済データを活用してカード取引量の増減や利用頻度を見ることで、必要な時にすぐ小口ローンを提供できるようにしました。また、ローンの返済が滞っても、カード決済の債権から自動的に回収することで貸し倒れリスクを抑えています。
その結果、Square Capitalの利用は広がり、過去2年間で1,000億円・10万件以上の貸出実績がある、同社を支えるもう一つの主力ビジネスに成長しています。
Squareに代表されるフィンテック企業は、既存のビジネスをデジタルに置き換えるだけではなく、そこから得られるデータを活用した新たなビジネスも開拓しています。今後も、こうした企業の動向に注目していきたいと思います。