アメリカで働くコンサルタントの本棚

主にM&Aやグローバルビジネスに携わり、USCPAを取得。仕事や自己啓発で役に立つ本や情報等を紹介します。

4:ブランドはなぜ墜ちたか

大手菓子メーカーの不二家で消費期限切れの原材料を使用した製品を製造・販売していたこと、基準に満たない製品を出荷していたこと等が大きく報道されています。明治43年(1910年)に創業し、間もなく100周年を迎えようとしている老舗企業だけに非常に残念な事態です。


今回の件は衛生管理、品質管理、コンプライアンスの不備などの多くの原因が挙げられていますが、その背景にある経営者の姿勢や組織も当然影響があったと思います。不二家は現在、工場の操業・洋菓子販売を休止、ホームページも閉鎖して対策に取り組んでいるようですが、いずれ詳しい原因の解明と対策が望まれるところです。


ブランドはなぜ墜ちたか―雪印、そごう、三菱自動車事件の深層 (角川文庫)
4:ブランドはなぜ墜ちたか―雪印、そごう、三菱自動車事件の深層 (角川文庫)
今回紹介するブランドはなぜ墜ちたかは、雪印の食中毒事件、そごうの倒産、三菱自動車リコール隠しの発生からその後の経緯までの産経新聞による取材を詳細にまとめたドキュメントです。
今回の不二家をはじめ、企業の不祥事がなぜ起こり、繰り返され、そしてどうやれば防げるのか、その一助になると思います。



会社が潰れるとき (日経ベンチャーブックス)
4:会社が潰れるとき (日経ベンチャーブックス)
日経ベンチャーに連載されていたコラムをまとめた会社が潰れるときも非常に興味深いです。中小企業を中心に23社の倒産事例を「過信・油断」「焦燥・保身」「暴走・乱脈」「粉飾・手形」「内紛」の5分類でドキュメントで描いています。




起業と倒産の失敗学 (文春文庫)
4:起業と倒産の失敗学 (文春文庫)
また、「失敗学」で有名な畑村教授が、企業の失敗=倒産について書いた起業と倒産の失敗学もお勧めです。ライブドア(2006年7月の改訂版)、ハイパーネットなどのベンチャー企業を中心にその隆盛から倒産までの経緯を追い、それを失敗学の観点から考察を加えています。




最後に、こちらの畑村教授を委員長として、科学技術振興機構JST)が構築した「失敗知識データベース」のURLをご紹介します。(情報源に入ってます。)

危機管理


現在、1000を超える事故や失敗の事例が蓄積されたデータベースです。
カテゴリー、キーワード、原因・行動・結果の観点で分類した「失敗まんだら」で過去の失敗を検索することもでき、典型的な失敗事例を集めた「失敗100選」も載っています。


ちなみに、失敗百選のランキング上位10位は以下のとおりです。

  1. 世界貿易センタービル倒壊
  2. 建設現場の墜落災害―安全帯の不適正使用に起因する事故
  3. 三菱自動車リコール隠し
  4. 航空母艦大鳳の魚雷一本の命中による沈没
  5. 富士通HDD(ハード・ディスク・ドライブ)不良問題
  6. 御巣鷹山日航ジャンボ機の墜落
  7. 雪印乳業の乳製品による集団食中毒事件
  8. スペースシャトルチャレンジャー号の爆発
  9. タイタニック号の沈没
  10. みずほフィナンシャルグループ大規模システム障害


総務省消防庁
「災害情報」、「阪神・淡路大震災関連情報データベース」、「危険物等情報一般公開用システム」が便利。また、一般向けに防災・危機管理をe-Learningで学ぶことができる「eカレッジ」を提供している。(すごい!)


防災情報のページ - 内閣府
地震の状況や被害を正確に、かつ素早く調べられる「災害緊急情報」が便利。他にも防災対策に関する国の取り組みが網羅されている。


防災体験レポート:市民防災ラボ
市民防災の視点から、家庭の防災対策や防災のポイント、防災用品に関するカテゴリ別の体験レポートなどが掲載されている。特に、家庭で防災計画を立てる際の参考にしたり、普段は使う機会が無い防災用品を選ぶのに便利。


FEMA.gov | Federal Emergency Management Agency
米国・連邦緊急事態管理庁のWebサイト。
地震等の自然災害、原子力事故、テロなどに対して、個人、企業、行政機関、そして子供向けに危機管理の対策、普及活動等に関する情報提供を行っている。

4:事業継続マネジメント(BCM)構築の実際

危機管理対策必携 事業継続マネジメント(BCM)構築の実際
危機管理対策必携 事業継続マネジメント(BCM)構築の実際
米国の同時多発テロ事件以降、企業においては予測困難なリスクによる事業中断にどのように対応するか、取引先や社会に対する責任をどのように果たすべきか、被害を極小化するためにはどうしたらよいか等の観点から、緊急事態に対する備えとして事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の重要性が高まってきました。


一方で、日本国内においては直接的な被害が発生しておらず、また危機意識が高まらないという事情などから、証券取引所などの社会インフラ等を除いては、こうした事業継続計画を策定する企業の事例はそれ程多くはない、という現状にあります。


こうした中で、本書は多数のリスクマネジメントの実務経験の他、中小企業庁BCPにも委員として携わった著者が、その知識・経験を基に、BCPの概要や適用事例、国内外の標準化動向、そしてBCP策定のためのステップを初級、中級、上級とレベル別に記したものです。他のBCP関連の書籍に比べて、特に優れているのが資料編にあるBCP様式類です。これらの多くは中小企業庁のWebサイト(http://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/bcpgl_download.html)でダウンロードすることができま。


BCPについて分かりやすく解説した本書とこれらのWebサイトを参考にすることで、地震などの脅威に対して未だ対応していない企業(特に対策に多額の費用をかけられず、かつ事業中断による影響も大きいと想定される中小企業)にとっても、実行可能なレベルのBCPを各企業の事情に応じて策定することができる、非常に有益な書籍です。

事業継続計画(BCP)

404 Error-内閣府防災情報のページ
内閣府中央防災会議が公表している、日本における事業継続のガイドラインです。BCP基本的考え方や取り組みの進め方及びその効果などが概説されています。中堅規模の製造業をモデルとした文書構成の例も提示されています。


企業における情報セキュリティガバナンスのあり方に関する研究会-報告書(METI/経済産業省)
経済産業省の報告書で、BCPの概要からフレームワーク、検討項目、ケーススタディ、構築事例まで幅広く述べられています。


中小企業BCP策定運用指針
中小企業への事業継続計画の 普及を促進することを目的として、中小企業の特性や実状に基づいたBCPの策定及び継続的な運用の具体的方法がわかりやすく説明されています。


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大阪証券取引所:Osaka Securities Exchange
東京証券取引所ジャスダック証券取引所が関係者向けに公表しているBCPの事例です。