アメリカで働くコンサルタントの本棚

主にM&Aやグローバルビジネスに携わり、USCPAを取得。仕事や自己啓発で役に立つ本や情報等を紹介します。

4: ペスト

新型コロナによる非常事態宣言が続き、更なる感染拡大も懸念されています。今回は、こちらの本で過去の感染症を振り返りたいと思います。

ペスト (中公文庫)

 

本書は、ペストが大流行した1660年代のロンドンの様子を克明に描いた作品です。著者はダニエル・デフォー、ロビンソン・クルーソーでも有名な作家であり、ペストの渦中に身を置きながら、客観的な視点からペストの発生から収束までを記しています。

 

一読して感じたのは、未知のウィルスに接した時、人々が取る行動は時代を超えても非常に似通っているということです。

当時、ロンドン市街の一角で発生したペストは、暫く期間を経た上で爆発的に拡大しました。その間、ペストが発生したことを隠すため、実際より少ない死亡者数が報告されていました。

ペストの発生が確認された後、先ず裕福な家庭から郊外に逃げていきました。結果的に、そのことがイギリス各地にペスト感染を拡大させることになります。

また、ロンドンに留まらざるを得なかった多くの市民も、感染を恐れて家屋封鎖して外出を避けたため、ロンドン市街はかつてないほど静まり返ったということです。現代のロックダウン期中の各都市の姿が想い出されます(なお、コロナ期間中によく耳にした"Quarantine(隔離期間)"という用語は、ペストの隔離期間が40日だったことが語源です。)

 

一方で、一旦、ペスト感染の拡大が収まってくると、市民の一部は次々と外に出て交流を始めるようになり、そのことが新たな感染拡大と死者数の増加も招きました。そして、ペストがようやく下火になった時、人々は泣いて喜び合ったそうです。

 

コロナ禍を通じて、私たちも似通った経験を多くしてきました。パンデミックという危機に直面した際、このような記録と振り返りを残していくことで、次の新たな感染症への対応につながると強く感じました。(なお、ペストの終息後、ロンドンは長期に亘り景気拡大を続けたことも補足しておきます。)

 

SRI International、日本向けイノベーション・センターを本格始動!

SRI Internationalは、野村ホールディングスと提携して日本企業向けのイノベーション・センター(NSIC)を7月から本格始動することを発表しました。先月末、Webinarで紹介も行われました。 

野村SRIイノベーション・センター - SRI International

www.youtube.com

 

SRI Internationalは、シリコンバレーのMenlo Parkに本拠を置く世界有数の研究機関で、元々はStanford大学の研究所として設置されました。オフィスもStanford大学にほど近い、閑静なエリアに位置しています。
現在は独立して、政府機関や企業、民間財団などの顧客に対して研究開発や戦略的提携の支援などを提供しています。

本提携を通じて、SRIが培ってきた最先端の技術・研究成果の提供に加え、シリコンバレーのスタートアップ企業の"エコシステム"と結び付けて、日本企業のイノベーションを実現します。

 

本プログラムには、野村総研をはじめ、村田製作所や大林組、静岡銀行、ハーモニック・ドライブ・システムズが既に参加しています。例えば、大林組では3D画像などを活用した次世代型の検査システムも開発しているようです。

www.sri.com

 

SRIは、古くはパソコンのマウスを始め、Siriの音声アシスタント、宇宙空間でも使われている遠隔操作ロボットなど、数々の実績を誇ります。現在は、AIやロボティクス、バイオなど幅広い分野で最先端の研究に取り組んでいます。

www.sri.com

 

今回のイノベーション・センター設立を機に、米国が誇る最先端の技術・ネットワークにアクセスできるようになったことは画期的です。今後も、SRIと日本企業が生み出す成果に注目していきたいと思います。

自動運転車の乗客輸送に初の許可

カルフォルニア州で、自動運転車の乗客輸送に遂に許可が下りる見通しになりました。許可を受けたのは、2016年にGMが買収した自動運転子会社のCruiseで、管理者なしのテスト車両で乗客を輸送する許可を取得しました。

www.cnbc.com

 

Google配下のWaymoを始め、多くの企業が自動運転を目指していますが、今回Cruiseが人間が運転しないドライバーレスの乗客輸送の許可を取得した初めての企業となりました。

当面は課金しないこと、四半期毎にSafety Planを含むレポート提出などが義務付けられているようです。 

 

Cruiseでは、独自の自動運転車両である"Origin"を保有しており、親会社であるGMの他、マイクロソフトやホンダ、ウォルマート、ソフトバンク・ビジョン・ファンドなども出資しています。

www.getcruise.com

 

また同社は、州当局から許可を得たタイミングで、自動運転の更なる拡張のために50億ドルの資金も確保しました(ニュース中、自動運転車の生産ラインも出ており興味深いです)。

https://electronics360.globalspec.com/article/16849/video-cruise-secures-5-billion-for-self-driving-expansion

 

自動運転車については、以前に当ブログでも紹介しましたが、今回のCruiseを皮切りに、各社の商用化に向けた取り組みが更に加速すると考えられます。

先ずはベイエリアなど限定した地域になるかと思いますが、無人タクシー・バスや配送サービスの実現が間近に迫っていると感じます。 

 

補足:自動運転車のテスト走行の模様(Bloomberg Technologyの特集)

www.thebookshelf.biz

Netflix、オンラインショップに参入

Netflixが独自の"Netflix.shop"を立ち上げて、新たにオンラインショップに参入しました。

 

特徴は、Netflixで放映されるコンテンツに関連が深い商品を販売すること。第一弾としてNetflixのオリジナルシリーズである"Eden"や"Yasuke"といったアニメ作品の商品を販売しました。カッコいいですね。

www.Netflix.shop

 

今後も人気作品の世界観を表現した商品を販売し、Amazonなどのオンラインショップと一線を画していくと思われます。

 

背景にあるのは、Netflix CEOの「広告主体のビジネスモデルは導入しない」という発言です。

jp.techcrunch.com

 

Netflixをはじめとするストリーミングサービスは、Amazonプライム、Apple TV+、Disney+などライバルとの競争がますます激しくなっています。また、投資家やメディア等からも収益の多様化を求める声が高まっていました。

そんな中で、Netflixが出した答えが広告収入に頼るのではなく、自社のオンラインショップを立ち上げることでした。

 

この戦略には2つの良い側面があります。

  1. 広告主向けに個人情報を流用される心配なく、視聴者が安心してサービスを利用できる
  2. Netflix独自のコンテンツに関連する商品の販売することで、高い利益率を期待できる

 

1つ目は、Google、Facebookなどの広告主体の企業とは対照的です。特にアメリカの個人情報の流用は辟易するほどです。余分な広告を挟むことなく、安心・快適にサービスを利用してもらうことでNetflixのサブスクリプションを増やそう、という狙いが見てとれます。

2つ目は、独自のコンテンツを豊富に持つNetflixならではの展開と言えます。今後も人気作品の商品ラインナップを増やしていくことで、更に利益率の向上が狙えます(映画で数多くのヒット作を出していたフジテレビの戦略にも通じますね。)

 

当面は、Netflix全体の収益への影響は限定的ですが、オンラインショップが目論見通りに伸びていくか、今後の展開に注目していきます。

 

 

補足

以前に当ブログでYouTube TVを取り上げましたので、そちらもご参考ください。

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Tesla、新型モデル "Model S Plaid"を発表

今週、Teslaはシリコンバレーの工場で最新モデルとなる"Model S Plaid"の発表イベントを開催しました。

 

最大の特徴は、史上最速の加速性能。60m/h(時速約100km)に至るまでの時間はわずか1秒99であり、従来のModel Sの2秒28を更に上回ります。

イベントの冒頭、イーロン・マスクがPlaidに乗って登場しますが、立ち上がりの加速度はまるでロケットのようです!

www.youtube.com

 

加えて、一新された内装も目を引きます。斬新な横長のハンドルは、まるでゲームの世界です。また、前方の大型ディスプレイに加えて、後部座席にもディスプレイが搭載されたため、ドライブ中に別々に映画やゲームを楽しむこともできます(運転には気を付けましょう!)。

relates to マスク氏、テスラ最速車種「モデルSプレイド」披露

www.tesla.com

 

そして目立たないながらも、充電時間と航続距離も改良を続けています。Plaidの航続距離は最大 390マイル(約624キロ)、日本ならば東京から大阪まで行けます。また、1回15分の充電でも187マイル(約300キロ)を走行することができます。以前に旧型のModel Sに乗った際、常にバッテリーの残量と充電場所を気にしながら運転していたので、この改善は大きいです。

※Teslaの充電は主にChargerで行いますが、Chargerが空いてなかったり、Charger性能により時間がかかることもあるため、外出時も計画が立てずらいのが課題の一つと感じていました。

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最新性能を誇るModel S Plaid、米国ではイベント中に最初の25台の納車を開始しました。

価格は約13万ドル(約1420万円)で、今後は継続的に生産を続けています。先ず米国での販売となりますが、日本にも登場するのが待ち遠しいですね。

 

補足

新型モデルのModel S/Xでは、PlayStation 5にも採用されている高性能なGPUを使用しているそうです。そのため、車内でも最新のゲーム機並みのクオリティでゲームが遊べるのですね。

 

 

4: バブルの歴史

今回紹介するのは、バブルの歴史です。500ページを超える長編ですが、 とても興味深く、仕事の合間などに少しづつ読み進めました。

バブルの歴史

 

バブルの記憶が残る2000年に出版(新訳は2018年)された本で、チューリップ投機、南海泡沫事件をはじめ、ブラックマンデー、日本のバブル経済、ヘッジファンドLTCMの破綻まで、代表的な出来事を当時の時代背景や人々の動きとともに丁寧に描いています。

 

一つの例として、18世紀イギリスの南海会社への投機ブームでは、株価が上がれば上がるほど国王・政府・会社の全員が得するスキームの下、半年で約10倍に株価が上昇しました。また、ブームに乗じて、不動産開発、工業・金属、保険などの様々なベンチャー企業(泡沫会社)が誕生しました。

しかし、株価上昇の勢いが止まると、一転して市場は暴落し、南海会社の株価はわずか四週間で約75%下落しました。また、バブル崩壊後はベンチャー企業の大半も消滅しました。

興味深いのは、暴落の引き金になる決定的な要因が特にあったわけではなく、株価上昇の勢いがなくなったところで、突然下落していることです。バブルをもたらした好循環の仕組みが逆に働き、急激にバブルがしぼんでいったのです。

 

 

また、日本のバブル景気についても、不動産価格の高騰(日本の不動産評価額は約2千兆円=アメリカの4倍)や、美術品・ゴルフ会員権市場の加熱、株式市場でも株価収益率が軒並み100倍を超えてたことなどが取り上げられています。あらためて数値を見ると驚きです。

 

現在の環境を振り返ってみても、コロナ禍での金融緩和の長期化や景気対策等により、米国等でも市場の過熱が見られます。まさに今、この本が示す歴史は繰り返すという教訓を忘れずに、気を引き締めていきたいと思います。