アメリカで働くコンサルタントの本棚

主にM&Aやグローバルビジネスに携わり、USCPAを取得。仕事や自己啓発で役に立つ本や情報等を紹介します。

公認不正検査士(CFE)の取得

先日、USCPAの延長として、公認不正検査士を取得しました。

 

公認不正検査士(CFE: Certified Fraud Examiner)は、ACFE (本部:米国テキサス州) が認定する不正の防止・発見・抑止の専門家であることを示す国際的な資格です。

CFE(公認不正検査士)の概要 – ACFE JAPAN | 一般社団法人 日本公認不正検査士協会

CFEは、不正を防ぐための幅広い知識が求められます。具体的には、不正行為の種類や検出方法、調査技術、証拠の収集・分析方法などが含まれます。また、不正行為を行う人物の心理や動機にも詳しく理解している必要があります。

 

そのため、CFE 資格試験では、

  • 財務取引と不正スキーム
  • 法律
  • 不正調査
  • 不正の防止と抑止

という4分野の知識が要求されます。

CFE 資格試験 – ACFE JAPAN | 一般社団法人 日本公認不正検査士協会

 

また、CFEの資格認定に際しては、試験に加えて、不正対策に直接的もしくは間接的に関連する専門的な職務経験を 2 年以上有していることが求められます。例えば、企業内で内部監査や法務、経理、総務などの部門で不正対策に取り組む方、公認会計士・弁護士等の士業、法執行(警察、検察)、金融機関等で不正対策に携わる方が含まれます。CFE資格を取得することで、不正対策の専門家として信頼が高まり、キャリアアップにもつながります。

 

私自身にとっても、CFEの学習には興味深い内容が多く、これまで携わってきたM&Aやグローバルビジネス等の経験を振り返り、自らの専門性を高める良い機会になったと感じています。今後、本ブログでもCFE関連のトピックを紹介していきたいと思います。

 

 

東京オリンピック 野球 決勝

東京オリンピックの野球 決勝をテレビ観戦しました。日本代表は、ピッチャー陣の見事な継投と、村上のホームランなどにより初の金メダルを獲得しました。本当におめでとうございます。

 

勝利の瞬間、アメリカではどのように放映されるのか、興味を持って現地テレビを見ていたところ、最後のバッターがアウトになった瞬間に
"Japan wins the gold medal!"
と実況されていました。アメリカ代表ではなく、先ず勝者を讃えたのです。

 

続けて、「日本代表は最高のメンバーを揃え、最高の準備を整え、勝つためにやるべきことを全て正しくやってきた」と、なぜ日本代表が勝てたかを述べた後、

"The U.S. team wins the silver medal!"

自国のチームメンバーの健闘も讃えていました。

 

この実況を聞いた時、もし日本代表が敗れた場合、日本ではどのように放送されただろう、と考えてしまいました。恐らく、第一声は"日本、敗れました"であり、その後も勝者ではなく、敗者となった日本チームの表情を流し続けたのではないかと思います。

 

勝敗がついた時、先ず勝者を讃えて、その勝因を中立的に見る姿勢。そしてまた、自らの奮起も促す。主観に囚われず、相手の視点も取り入れながら成長していくことの大切さを、オリンピック野球の実況からふと感じました。

4: ペスト

新型コロナによる非常事態宣言が続き、更なる感染拡大も懸念されています。今回は、こちらの本で過去の感染症を振り返りたいと思います。

ペスト (中公文庫)

 

本書は、ペストが大流行した1660年代のロンドンの様子を克明に描いた作品です。著者はダニエル・デフォー、ロビンソン・クルーソーでも有名な作家であり、ペストの渦中に身を置きながら、客観的な視点からペストの発生から収束までを記しています。

 

一読して感じたのは、未知のウィルスに接した時、人々が取る行動は時代を超えても非常に似通っているということです。

当時、ロンドン市街の一角で発生したペストは、暫く期間を経た上で爆発的に拡大しました。その間、ペストが発生したことを隠すため、実際より少ない死亡者数が報告されていました。

ペストの発生が確認された後、先ず裕福な家庭から郊外に逃げていきました。結果的に、そのことがイギリス各地にペスト感染を拡大させることになります。

また、ロンドンに留まらざるを得なかった多くの市民も、感染を恐れて家屋封鎖して外出を避けたため、ロンドン市街はかつてないほど静まり返ったということです。現代のロックダウン期中の各都市の姿が想い出されます(なお、コロナ期間中によく耳にした"Quarantine(隔離期間)"という用語は、ペストの隔離期間が40日だったことが語源です。)

 

一方で、一旦、ペスト感染の拡大が収まってくると、市民の一部は次々と外に出て交流を始めるようになり、そのことが新たな感染拡大と死者数の増加も招きました。そして、ペストがようやく下火になった時、人々は泣いて喜び合ったそうです。

 

コロナ禍を通じて、私たちも似通った経験を多くしてきました。パンデミックという危機に直面した際、このような記録と振り返りを残していくことで、次の新たな感染症への対応につながると強く感じました。(なお、ペストの終息後、ロンドンは長期に亘り景気拡大を続けたことも補足しておきます。)

 

SRI International、日本向けイノベーション・センターを本格始動!

SRI Internationalは、野村ホールディングスと提携して日本企業向けのイノベーション・センター(NSIC)を7月から本格始動することを発表しました。先月末、Webinarで紹介も行われました。 

野村SRIイノベーション・センター - SRI International

www.youtube.com

 

SRI Internationalは、シリコンバレーのMenlo Parkに本拠を置く世界有数の研究機関で、元々はStanford大学の研究所として設置されました。オフィスもStanford大学にほど近い、閑静なエリアに位置しています。
現在は独立して、政府機関や企業、民間財団などの顧客に対して研究開発や戦略的提携の支援などを提供しています。

本提携を通じて、SRIが培ってきた最先端の技術・研究成果の提供に加え、シリコンバレーのスタートアップ企業の"エコシステム"と結び付けて、日本企業のイノベーションを実現します。

 

本プログラムには、野村総研をはじめ、村田製作所や大林組、静岡銀行、ハーモニック・ドライブ・システムズが既に参加しています。例えば、大林組では3D画像などを活用した次世代型の検査システムも開発しているようです。

www.sri.com

 

SRIは、古くはパソコンのマウスを始め、Siriの音声アシスタント、宇宙空間でも使われている遠隔操作ロボットなど、数々の実績を誇ります。現在は、AIやロボティクス、バイオなど幅広い分野で最先端の研究に取り組んでいます。

www.sri.com

 

今回のイノベーション・センター設立を機に、米国が誇る最先端の技術・ネットワークにアクセスできるようになったことは画期的です。今後も、SRIと日本企業が生み出す成果に注目していきたいと思います。

自動運転車の乗客輸送に初の許可

カルフォルニア州で、自動運転車の乗客輸送に遂に許可が下りる見通しになりました。許可を受けたのは、2016年にGMが買収した自動運転子会社のCruiseで、管理者なしのテスト車両で乗客を輸送する許可を取得しました。

www.cnbc.com

 

Google配下のWaymoを始め、多くの企業が自動運転を目指していますが、今回Cruiseが人間が運転しないドライバーレスの乗客輸送の許可を取得した初めての企業となりました。

当面は課金しないこと、四半期毎にSafety Planを含むレポート提出などが義務付けられているようです。 

 

Cruiseでは、独自の自動運転車両である"Origin"を保有しており、親会社であるGMの他、マイクロソフトやホンダ、ウォルマート、ソフトバンク・ビジョン・ファンドなども出資しています。

www.getcruise.com

 

また同社は、州当局から許可を得たタイミングで、自動運転の更なる拡張のために50億ドルの資金も確保しました(ニュース中、自動運転車の生産ラインも出ており興味深いです)。

https://electronics360.globalspec.com/article/16849/video-cruise-secures-5-billion-for-self-driving-expansion

 

自動運転車については、以前に当ブログでも紹介しましたが、今回のCruiseを皮切りに、各社の商用化に向けた取り組みが更に加速すると考えられます。

先ずはベイエリアなど限定した地域になるかと思いますが、無人タクシー・バスや配送サービスの実現が間近に迫っていると感じます。 

 

補足:自動運転車のテスト走行の模様(Bloomberg Technologyの特集)

www.thebookshelf.biz

Netflix、オンラインショップに参入

Netflixが独自の"Netflix.shop"を立ち上げて、新たにオンラインショップに参入しました。

 

特徴は、Netflixで放映されるコンテンツに関連が深い商品を販売すること。第一弾としてNetflixのオリジナルシリーズである"Eden"や"Yasuke"といったアニメ作品の商品を販売しました。カッコいいですね。

www.Netflix.shop

 

今後も人気作品の世界観を表現した商品を販売し、Amazonなどのオンラインショップと一線を画していくと思われます。

 

背景にあるのは、Netflix CEOの「広告主体のビジネスモデルは導入しない」という発言です。

jp.techcrunch.com

 

Netflixをはじめとするストリーミングサービスは、Amazonプライム、Apple TV+、Disney+などライバルとの競争がますます激しくなっています。また、投資家やメディア等からも収益の多様化を求める声が高まっていました。

そんな中で、Netflixが出した答えが広告収入に頼るのではなく、自社のオンラインショップを立ち上げることでした。

 

この戦略には2つの良い側面があります。

  1. 広告主向けに個人情報を流用される心配なく、視聴者が安心してサービスを利用できる
  2. Netflix独自のコンテンツに関連する商品の販売することで、高い利益率を期待できる

 

1つ目は、Google、Facebookなどの広告主体の企業とは対照的です。特にアメリカの個人情報の流用は辟易するほどです。余分な広告を挟むことなく、安心・快適にサービスを利用してもらうことでNetflixのサブスクリプションを増やそう、という狙いが見てとれます。

2つ目は、独自のコンテンツを豊富に持つNetflixならではの展開と言えます。今後も人気作品の商品ラインナップを増やしていくことで、更に利益率の向上が狙えます(映画で数多くのヒット作を出していたフジテレビの戦略にも通じますね。)

 

当面は、Netflix全体の収益への影響は限定的ですが、オンラインショップが目論見通りに伸びていくか、今後の展開に注目していきます。

 

 

補足

以前に当ブログでYouTube TVを取り上げましたので、そちらもご参考ください。

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