今回紹介するのは、バブルの歴史です。500ページを超える長編ですが、 とても興味深く、仕事の合間などに少しづつ読み進めました。
バブルの記憶が残る2000年に出版(新訳は2018年)された本で、チューリップ投機、南海泡沫事件をはじめ、ブラックマンデー、日本のバブル経済、ヘッジファンドLTCMの破綻まで、代表的な出来事を当時の時代背景や人々の動きとともに丁寧に描いています。
一つの例として、18世紀イギリスの南海会社への投機ブームでは、株価が上がれば上がるほど国王・政府・会社の全員が得するスキームの下、半年で約10倍に株価が上昇しました。また、ブームに乗じて、不動産開発、工業・金属、保険などの様々なベンチャー企業(泡沫会社)が誕生しました。
しかし、株価上昇の勢いが止まると、一転して市場は暴落し、南海会社の株価はわずか四週間で約75%下落しました。また、バブル崩壊後はベンチャー企業の大半も消滅しました。
興味深いのは、暴落の引き金になる決定的な要因が特にあったわけではなく、株価上昇の勢いがなくなったところで、突然下落していることです。バブルをもたらした好循環の仕組みが逆に働き、急激にバブルがしぼんでいったのです。
また、日本のバブル景気についても、不動産価格の高騰(日本の不動産評価額は約2千兆円=アメリカの4倍)や、美術品・ゴルフ会員権市場の加熱、株式市場でも株価収益率が軒並み100倍を超えてたことなどが取り上げられています。あらためて数値を見ると驚きです。
現在の環境を振り返ってみても、コロナ禍での金融緩和の長期化や景気対策等により、米国等でも市場の過熱が見られます。まさに今、この本が示す歴史は繰り返すという教訓を忘れずに、気を引き締めていきたいと思います。