アメリカで働くコンサルタントの本棚

主にM&Aやグローバルビジネスに携わり、USCPAを取得。仕事や自己啓発で役に立つ本や情報等を紹介します。

IoT100+1(日経コンピュータ 3月30日号)

今月号(2017年3月30月号)の日経コンピュータで「IoT100+1」という特集を組んでいます。1月に特集された「人工知能 100」の続きにあたるものですが、今回も豊富な事例が紹介されており、なかなか良くまとまっています。

 

大きくはIoTの活用事例、最新テクノロジー、 市場動向、セキュリティ対策、将来に向けた取り組みの5つに分かれています。

このうちIoTの特徴であるネットワークでつないで大量のデータを蓄積すること、かつ蓄積したデータを活用して社会的に大きなインパクトが期待できる事例や取り組みを幾つかピックアップしてみました。

  • 日揮: NECと共同で化学プラントの異常予知検知サービスを提供開始。プラントに取り付けたセンサーが圧力・温度等を収集、AIで分析した結果、2-3日前に異常予兆を検知
  • ボッシュ: 工場IoTで生産状況の見える化や故障予知を実施、自社の生産ラインに適用した結果、生産量を8%向上(日本企業向けにもサービス提供を開始)
  • NTT・東レ: 共同開発した機能素材"hitoe"により切るだけで心拍数・心電波形を計測。医療機器としても認可されて、入院患者のリハビリへの活用の実証実験も開始
  • ドコモ・東京無線: タクシー約4400台をネットワーク化し、車載器から乗降時刻・位置等のデータを収集・蓄積、ドコモのデータと組合せて30分後までのタクシー需要を予測
  • 東京電力・GE: GEのIoTプラットフォーム"Predix"を活用し、火力発電所の設備から温度・圧力・振動等を収集、Predix上のアプリで分析し稼働率向上・運用コストの削減を図る
  • 長野県: ワイン用ブドウ栽培の農地にセンサー端末を設置し、気温・降水量・湿度・日射量等のデータを収集、品質向上や病害の防除などに活用していく

などになります。

また、将来の取り組みとしては、Amazonが"Amazon Dash Button"を更に活用し、ボタン一つでタクシー配車、ピザの配達などを自由に利用できるように目指していることも紹介されています。

 

いずれの事例も、センサー・ネットワークを活用してより多くのデータを収集し、データ分析を通じて将来予測や作業効率化、コストの低減化などを図るものです。

また、以前に紹介したGE等の大手メーカーや通信会社などがプラットフォームを提供している事例が多く含まれているのも特徴的です。既に多くの企業や利用者のプロセスに組み込まれているという点で、これらのプラットフォームには強みがあります

 

今後は、大規模プラットフォームによるデータ収集と、AI等を活用したデータ分析の組み合わせから更に成果を挙げていく企業が主流となっていくでしょう