アメリカで働くコンサルタントの本棚

主にM&Aやグローバルビジネスに携わり、USCPAを取得。仕事や自己啓発で役に立つ本や情報等を紹介します。

4: ビッグデータと人工知能

現在は、第三次人工知能ブームとも呼ばれています。このブームのきっかけは、

  • 2011年、IBMの「Watson」が米国の人気クイズ番組でクイズ王を破り優勝
  • 2011年以降、コンピュータ将棋とプロ棋士が対局する将棋電王戦が開催される
  • 2015年、グーグルの「アルファ碁(AlphaGo)」が世界トップの棋士を破る 

など多くの注目を集めるニュースがあったからです。特に昨年のアルファ碁は、"Deep Learning"という新たな手法で、それまで人間に勝つことは難しいとされていた囲碁のプロ棋士を破ったことで衝撃を与えました。

 

今年に入っても、書店で人工知能/AIに関する書籍が多数並んでおり、雑誌でも「人工知能に人間の仕事が奪われる」という特集をよく見かけます。

 

こうした動きは、新たな技術を広めて、その活用する機会を増やしていくという良い側面もありますが、最近では人工知能の可能性が宣伝されすぎている傾向も見られます。

 

こうした流れを冷静に捉えて、人工知能を始めコンピュータそのものが抱える限界を示した上で、今後人間と人工知能がどのように協業していくかを解説しているのがこちらの書籍です。

ビッグデータと人工知能 - 可能性と罠を見極める (中公新書)

 

情報学に長年携わっている著者だからこそ技術的・理論的な裏付けもあり、説得力を持ちます。 

 

その上で、人工知能が人間と同じ思考を持つことは不可能であり、近い将来においても人間には人間しかできない仕事、人工知能はコンピューターでもできる仕事をそれぞれ受け持つようになる、 という示唆は非常に興味深いものです。本書を読みながら、私も共感する点が多々ありました。

 

今後の人工知能の活用を考える上で、その可能性と限界を冷静に見極める視点を持つためにとても有益な書籍だと思います。