アメリカで働くコンサルタントの本棚

主にM&Aやグローバルビジネスに携わり、USCPAを取得。仕事や自己啓発で役に立つ本や情報等を紹介します。

人工知能による記事の自動作成 (決算、天気等)

日経新聞は、年始の記事で「人工知能(AI)による決算記事の作成を始める」ことを公表していましたが、早くも1月25日から完全自動 決算サマリー」としてAIによる各企業の決算のサマリー記事の公開を始めました。

 

このプロジェクトは、日経新聞と言語理解研究所、人工知能の第一人者である東京大学松尾豊准教授の共同研究によるもので、決算短信等の企業が公表したデータを元に独自のアルゴリズムで記事を作成します。

プロジェクトの概要はこちらに公表されていますが、上場企業3600社の大半に対応し、データが公表されてからわずか数分で、完全自動により記事が出来上がるそうです。 

pr.nikkei.com

 

また、実際に作成された記事は、当面はベータ版という位置付けで、「日本経済新聞 電子版」や「日経テレコン」などのコンテンツとしても提供されるそうです。

実際に書かれた記事はこちらから見ることができますが、記述内容に特に問題はなく、言われなければ人工知能が作成したとは全く分かりません。

日経会社情報DIGITAL : 日経電子版

 

例えば、1/27に公表された三井住友フィナンシャルグループの決算は、次の通りでした。 

三井住友フィナンシャルグループの16年4~12月期、純利益13%減5446億円

2017/1/27 17:02
 
 三井住友フィナンシャルグループが27日に発表した2016年4~12月期の連結決算は、純利益が前年同期比13%減の5446億円となった。経常収益は前年同期比5.1%増の3兆7575億円、経常利益は前年同期比9.6%減の8133億円だった。
 連結粗利益は、株式会社三井住友銀行において昨年好調であった市場営業部門が減益となったことや、マイナス金利の影響等により、前年同期から減少となった。持分法による投資損益は、前年同期に発生したPT Bank Tabungan Pensiunan Nasional Tbkに係るのれん減損の反動を主因に、前年同期から増加の利益となった。

 2017年3月期は純利益が前期比8.2%増の7000億円、経常利益が前期比2.6%減の9600億円の見通し。

 

強いていえば、記者による独自分析などが無かったり、名称や利益等の表現に多少の不自然さがありますが、それでも決算のサマリー記事としては十分な内容と言えるでしょう。

 

また、時期を同じくして、NTTデータからも気象電文を元に気象ニュース原稿を自動的に作成する実験結果が公表されています。こちらでも、わずかな修正する程度で元の伝聞と相違ないニュース原稿が作成できることが確認されたそうです。

人工知能を用いたニュース原稿の自動生成に関する実証実験を実施 | NTTデータ

 

 

今後、こうした記事や資料作成等の業務にますます人工知能が活用されていく可能性が広がること、その時に人間には更なる専門性が求められることを顕著に示していると思います。